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管理・用法違反をめぐるトラブルについて

1.管理義務違反

 

建物賃貸借契約においては、貸主は借主に対し、借主が賃借した目的を達成できるように、その建物を使用収益させる義務を負っており、この義務こそ貸主の本体的な契約上の義務です。

この義務の内容は、単に使用収益をさせるというだけではなく、借主の使用収益に適する状態を維持し、もし使用収益に適しない状態になっているときは、その不適切な状態を除去・解消して適切な状態に回復すべきことも含まれています。

 

たとえば、賃貸アパートの1室で他の賃借人に迷惑となるような行為が継続的に行われている場合には、これを放置することは法律的にもできません。

貸主は、他の借主が迷惑を被らないようにするため、その迷惑の原因者の行為を制止すべき義務を負っています。

この義務が、いわば貸主の管理義務です。

貸主がこの義務を果たさない場合は、借主は一定の請求をすることができますが、その内容は修繕義務の不履行の場合と同様です。

 

 

2.用法違反

 

(1)用法に関する民法の規定

 

民法によれば、借主は「契約またはその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない」(同法第616条、第594条第1項)とされており、また借主は賃借物を返還するまでは、賃借物の保管について善良な管理者としての注意義務を負っています(民法第400条)。

この義務を、「用法遵守義務」ないし「用法義務」といいます。この義務に違反した場合は、貸主はその違反行為の差止めや違反行為の結果の除去を請求できるほか、その内容が一定限度を超えている場合には、賃貸借契約の解除をすることができます。

 

 

(2)用法違反の具体例

 

建物賃貸借において用法違反が問題となった実際の事例を紹介すると、次のようなものがあります。

 

 

①契約における「使用目的」に違反したか否かが問題となったもの

 

〈目的違反として解除が認められた裁判例〉

・使用目的が「飲食店」であったが、借主がその賃借建物内で、暴力団関係者とともに「金融業」を営んだ

・営業態様を「純喫茶」からいわゆる「ノーパン喫茶」に変更した

・使用目的を「事務室」として定められたものが「テレホンクラブの営業」に使用された

・「麻雀屋」から「ゲームセンター」に全面改装して営業した

・使用目的を「不動産業務の事務所」としたビルの賃貸借で、借主が「貸机業(レンタルオフィス)」を営んだ

・「マリンスポーツの会員集会所、懇談所」として、会員のために飲食を提供することを目的としてなされた賃貸借で、実際には風俗営業法による許可が必要な営業形態である、女性に接客させて酒食を提供し、グランドピアノ、カラオケの設備を置き深夜まで客の利用を認める営業をした

 

〈解除が認められなかった裁判例〉

・賃借した居住用建物の階下の6畳1室で、生徒数6名程度の学習塾を営んだ

・バーとして使用した賃借建物の内装を一新して「ブティック」を開店した

・使用目的を「飲食店」として賃借したが、ほとんど改造することなく「繊維品格納倉庫」として使用することとした

 

 

②建物の増築、改築、模様替え(改装)の承諾義務違反か否かが問題となったもの

 

〈無断増改築などによる解除が認められた裁判例〉

・バーに使用している借主が、建物の南側にあった店の出入口を、外壁を抜いて北側に造る改造をした

・社員寮として使用してきた賃借建物について、玄関を増改築し、和室を洋室へ改造し、その他2階和室の壁の打ち抜きなど多数の改造を行った

・パチンコ店兼社員寮の建物賃貸借について、1階をうなぎ屋、2階を中華料理店に改装するために、1階天井の一部を開けて階段室を設置し、2階の旧和室3室を除去した

・ファッション関係の店舗として約20年間にわたり貸借してきた建物について貸主に告げないでアイスクリームの販売店にすべく大規模な改装工事を実施した

 

〈解除が認められなかった裁判例〉

・大衆酒場のチェーン店の模様替えにおいて借主が行った工事は、主として店舗内の壁、天井および床の張替えなど、原状回復が容易な軽微な工事であった

・借主が貸主との合意で決められた範囲を逸脱して、土間の修理、タイル張り、間仕切り工事などを施工した

 

 

③ペット飼育禁止違反

 

犬、猫等のペット動物の飼育禁止の特約は、共同生活の秩序維持、安全衛生の観点から一般的に有効と解されており、同じ趣旨の裁判例はかなりあります。

 

 

④保管義務違反

借主の建物の使用方法が著しく乱暴で、賃貸借契約上の善管注意義務または用法遵守義務に著しく違反した場合は、貸主は催告なしに契約を解除することができます。

 

 

⑤近隣妨害行為

借主が賃借建物の使用方法について、あるいは賃借建物での営業方法をめぐって近隣とトラブルが生じ、そのことが解除の原因として認められるかが問題となるケースも多くあります。たとえば、13階建てマンションの1階の店舗を借りて飲食店を営む借主が、カラオケに関する県の条例に違反して騒音公害を生じさせたため、賃貸借の解除が認められたというのが、その一事例です。

 

 

以上のように、用法違反が問題となるケースはさまざまですが、裁判例における結論は、おおむね一般人・平均人の常識からみて、貸主と借主との間の信頼関係が破壊されたといえるか否かが基準となっているということができます。